人材不足が解消できない業界の問題

介護職は、世間的にネガティブなイメージを持たれていることが多いです。仕事内容のきつさや待遇面について、時々テレビなどで取りあげられることが多いことが原因なのかもしれません。
要介護者が増加しているのに対し、介護職員は不足のままということが大きな原因と言えそうです。介護職員が不足しているから仕事がハードになり、イメージが先行して職員の確保が難しくなっているため、なかなか問題解決にいたっていません。
経済産業省の出した予測によると、2035年に介護施設では約79万人もの人材が不足するといわれています。また、2065年には4人に1人が75歳以上という時代がやって来るという推計も出ています。子が親を介護するという、これまで当たり前だったことが一般的ではなくなっていることも要因の一つです。

そのため、介護現場では人材獲得競争が非常に激しくなっています。しかし、イメージが先行してなかなか採用に至っていません。
採用する人数が少ないため、今いるスタッフを大切にする取り組みを行っているところも増えてきています。しかし、一番多い離職理由は人間関係だと言われており、改善がなかなか進まないのが現状です。
人間関係はどこの職場でもあることですが、要介護者を相手にするというミスの許されない現場ではより一層厳しいものがあるのでしょう。これを解消するために「ユニットケア」というシステムが導入されはじめました。老人ホームの入居者10人を1ユニットとし、決まったスタッフがケアするという介護方法です。この場合、ユニットごとに動けるので、考えを実践しやすく自由度の高い環境で働けます。介護職員のストレスを抑え、ギクシャクした人間関係を緩めることに繋がります。
また、介護職は直接的なケア以外の業務として書類作業が多いです。これらの負担を減らすために、ペーパーレス化や外部ITサービスを活用する施設が増えてきています。

国もこの現状を問題視しており、数年に一度制度の見直しや処遇改善などでサポートしようとしています。外国人の人材活用も進められており、少しずつ環境がよくなりつつあるようです。